治療法解説:CAR-T

CAR-Tとは?

患者由来の免疫細胞を用いてがん細胞の消滅を目指す治療法です。

CAR-T

CAR-TのPros./Cons.

血液がんにおいて高い有効性が見込め、化学療法と異なり副作用が少ない利点がある一方で、固形がんでの有効性は認められず、また薬価が非常に高額な点が懸念です。

Pros.

高い治療成績

  • 臨床試験結果では難治性の急性リンパ芽球性白血病患者の7~9割に完全寛解が認められるなど、血液がんにおける高い有効性が見られる

副作用が少ない

  • 自身のリンパ球を投与するため、脱毛や吐き気や嘔吐がなく、2週間ほどの入院期間で日常生活に戻れる

Cons.

固形がんには不向き

  • がんの多くを占める固形がんに対しては、さまざまな研究が行われているものの、なかなか効果が得られていない

高額な薬価

  • CAR-Tの薬価は非常に高額であり、患者一人当たり3000万円以上要する

製造~投与までのプロセス

患者由来のT細胞に遺伝子導入を行い、特定のがん細胞を攻撃するように改変する。改変したT細胞を患者に戻すことでがん細胞の消滅を目指します。

製造~投与までのプロセス

日本で承認されているCAR-T

キムリアが2019年に製造販売承認をされて以来、現在日本では5つのCAR-T製品が承認されており、いずれも2nd line以降の血液がんに適応を有します。

日本で承認されているCAR-T

CAR-Tの今後の論点

血液がんに高い治療効果をもつCAR-Tだが、固形がんへの有効性は認められておらず、今後の開発が望まれます。また、高額な薬価は医療経済の観点で議論が必要になると思料されます。

固形がんへの適応拡大

医療経済的な観点から薬価見直し

参考情報

KOMPAS 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
がんと免疫「CAR-T療法」血液がんの実績と他がん種への期待 (2018/12, がんプラス)
がん治療の第4の柱・細胞療法。全国でも限られた医療施設のみが提供できる CAR-T療法とは? (2021/11/26, GOOD HEALTH JOURNAL)
Novartisホームページ CAR-T細胞療法
各製品の添付文書
各社ニュースリリース
国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部ホームページ 承認された遺伝子治療製品(2023年7月時点)

資料

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